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平成17年7月6日(水)
●テクニカル的には、目先8〜9合目の可能性
■先週の日銀短観を受けた日本株は戻り基調を維持。強い展開が続いているが、テクニカル的には、目先8〜9合目の可能性もあり、新規の買いについては「短期勝負」か「先々の調整の可能性も視野に入れつつ中期ジックリ」のどちらかに割り切る必要有り。
■先週発表の日銀短観で目についたのは、経常利益・設備投資の上方修正。特に設備投資は、期初では控えめな数字を発表し、その後は景気が堅調なら増額されるパターンが一般的。ただ今回の景気回復局面では、設備投資が期初段階から大幅な増強を示しており、過去のパターンとは異なる展開。おそらく90年以降のバブル崩壊の10数年間、株価下落・景気じり貧の環境下では設備投資に踏み切れず、過去の設備の利用でしのいでいたが、これら設備の老朽化で「競争力の低下がライバルとの熾烈な競争に負ける」。こんな危機感が活発な設備投資計画に表れている。
また経常益では、上期は下方修正、下期は増額修正、通期でも増額修正との内容だが、原油価格の影響が比較的少ない点から、通期の増額修正につながっていると考えられる。
ここまでを整理すると、米国株や一段の原油高リスクは、前期の経常益下方修正で警戒しているものの、年間を通してはその影響も楽観的であり、むしろ活発な設備投資や「思わぬ円安」などにより、利益は増額修正の可能性が高まり、株価も折り込み始める展開というのが昨今のジリ高に現れていると言える。
■そうなると「強気で押しまくる」、と言う戦略も有り得るのだが、筆者が好むテクニカル分析上では逆に「目先はそろそろ警戒も」と言う信号を発しており、悩ましい。
まず市場の物色意欲を示す騰落レシオだが、25日では6/29・126%を示現。3月高値11975円当時と同レベルまで上昇した。また値幅のRSIでは70%の高水準での推移が続き、日柄のサイコロも75%前後での推移中など、短期的には過熱信号が多い。
また週足では、9週RCIが91%まで上昇、12週RCIも67%まで上昇中。9週サイクルのリズムではそろそろ高値圏。12週サイクルではまだ80%以上の水準までは余裕はあるが、過熱圏まで2週間前後ではと思われる。
もちろんテクニカルの過熱=調整と、簡単に導くことが出来ないのが、欲という投資家心理に強く影響される株価分析の難しいところでもあり、チャート・テクニカル分析の「ダマシ」でもある。
03年のNYダウはテロへの警戒などを織り込みつつ、1年通してジリ高で、押し目の目安は13週線。これを日本株に当てはめれば、「13週線維持の間は持続」という見通しも有り得るのだが、ここまで強気でよいのか正直、分析難である。
米国株が大きく崩れなければ、日本株の堅調さは維持される可能性はあるが、日本株のテクニカルでは、そろそろ一服欲しいところでもあり、新規買いは用心しつつと考えます。
著 者 紹 介 |
高岡隆一(たかおかりゅういち) |
1962年生まれ。私立大法学部を卒業後、株式関連企業に入社。株式講演・ラジオたんぱ(日経ラジオ社)の市況解説などを経て1997年に独立。現在、株式分析雑誌への寄稿・編集、講演会・株式情報の提供を中心に活動中。歯切れのいい解説や的確な相場判断には定評がある。
著書に『「株長者」になるための私のテクニカル投資法』(アスカビジネスカレッジ発行・明日香出版発売)がある。 |
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