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平成17年6月29日(水)
●分岐点を確認する重要な週
■今週の株式市場は「分岐点を確認する重要な週」。大きな調整は想定していませんが、注目株の3分の1〜半分は現金化(ロスカットも含む)し、米国株の確認待ちです。
■リポートでは、4/18号で、「日経平均が10600円台に接近する場面はそろそろ買い場」としました以降、リバウンド期待から個別株の押し目買いというスタンスでした(日経平均安値4/21)。
しかし今週号では、3/7号以来の慎重スタンスに変更しますが(3/7号当時は新規買いよりも利食いをそろそろ考える時期と・日経平均天井3/7)、その理由をあげてみます。
■そもそも4月の急落時に反転を考えたのは、米国株の底打ち感があります。当時で言えば、4/20にNYダウは1万ドルまで急落しますが、12・26・52日RCIはボトムまで低下。米企業の業績堅調もあり「そろそろ反転」と考えたことが一番の理由です。
また過去にもリポートしましたように、NYダウと日経平均の安値を比較しますと、必ず米国株が数日先に底入れし、安心感が出たあとから日本株も下げ止まるという傾向が、04年以降継続しています。つまり日本株投資の最大のお客さんである米国の株式市場が安定して、はじめて日本株も落ち着き始めるという構図が出来上がっているためです。以上から米国株安定→日本株も反転か、と考えました。
■では直近の米国株の動きを確認します。一番弱いNYダウの場合、チャート上の節目となる10500ドルを先週の木・金曜日、陰線で割り込んでいます。さらに25・75・200日線も10522〜10444ドルに収斂していましたが、大きな陰線で下離れ。チャート上は基調悪化とも言えるサインです。
さらに4月末の買いの根拠となった9〜12週RCIですが、9週は陰転・12週も陰転サイン。つまり4月の安値から2ヶ月以上の上昇が続き、日柄的には上げ足が鈍りそうな日柄でテクニカルは陰転サイン。チャート・テクニカル面から「変化点の可能性も」と考えました。
■今回の米国株急落は原油価格上昇が影響していますが、早期に価格上昇が終わるのか不透明です。さらに今週の米国FOMCでのGスパン議長の景気・物価認識に、マッケットの意識が集中。おそらくパニックとなるような「強い懸念」は表明しないでしょうが、これだけ石油価格が上昇すれば、落ち着いたように見られた米国物価統計も、この先の発表分では再びインフレ警戒の内容となり、利上げ打ち止めも先送り、さらには企業業績の回復期待も後退。ソフトパッチ(経済の一時的な停滞)への懸念が浮上し、株式市場は原油価格の上昇が止まらないと、反転出来ないようなダラダラ調整のリスクも有り得る。これが先週末の米国株の反応でしょう。
■一方の日本株ですが、日経平均は6/23にサイコロ83%(10勝2敗)を記録。75%以上が目先の高値圏という経験則を過去と比較すれば、3/7高値近辺や年末年始の高値圏。さらには04年3月など75%以上は目先の高値・天井圏で示現され要警戒。また52日RCIは過熱圏まで余裕はあるが、12・26日RCIやRSIも目先は過熱。25日騰落レシオも124%まで上昇など、日足を中心に短期警戒信号。
■先週発表の法人企業景気予測では、設備投資・経常益などが大幅に上方修正され、7/1・日銀短観も改善が期待され、株式市場の堅調推移に対する期待は相当に強い。正直このまま米国株安を受け止め、ジリ高継続のシナリオも有り得るのですが、日本株の買い転換理由とした米国株の動きが変調。仮にジリ高が続いても52日RCIや9週RCIの水準から7月中旬あたりが目安と考えますと、最後の吹き場面に期待するよりも、リスクを減らす意味で、利食い・現金化と考えます。
著 者 紹 介 |
高岡隆一(たかおかりゅういち) |
1962年生まれ。私立大法学部を卒業後、株式関連企業に入社。株式講演・ラジオたんぱ(日経ラジオ社)の市況解説などを経て1997年に独立。現在、株式分析雑誌への寄稿・編集、講演会・株式情報の提供を中心に活動中。歯切れのいい解説や的確な相場判断には定評がある。
著書に『「株長者」になるための私のテクニカル投資法』(アスカビジネスカレッジ発行・明日香出版発売)がある。 |
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