平成17年07月07日(木)


商船三井(9104)

運航船舶を35%アップ、収益の安定性からも評価余地大


 商船三井の05年度基準の株価収益率は8倍弱と、海外主要企業との比較でも若干割安な水準にとどまっている。中長期契約をベースとした収益の安定性、船隊整備の成果を勘案すれば、評価余地は大きいといえよう。

 需給改善を背景とした海運市況全般の上昇が、これまでの合理化努力に加わったことで、2004年度に最高益を更新する企業が多数存在する海運業界。その中で今後予想される市況調整局面への備えが進んでいると見られる商船三井に注目したい。

 同社の変化は積極的な船隊整備計画に象徴される。投資計画は04年3月に発表した計画を上方修正。04年4月−10年3月の建造隻数を2割弱上積みし287隻とした。投資額は外部船主の負担分も合わせて1兆4500億円(従来計画比25%増)。

 短期の用船も当初計画より増やし、10年3月時点の運航船舶は従来計画より1割増える。

 運賃市況が高い水準で推移しているため収益計画も見直し、07年3月期の純利益は従来目標より9割多い1220億円に引き上げた。

 同社のポイントは、リスクを取りにくいという経営姿勢の変化。これは過去の合理化努力の成果でもある。

 もう一点が、今後数年にわたって、競争力ある船隊ポートフォリオの維持が可能となったこと。同社の強みでもある資源エネルギー輸送分野は、中長期契約の比率が高く、これまでの契約の蓄積を勘案すれば、市況抵抗力は増強されたと見ていいだろう。

 海運市況は調整局面を迎えると見ているが、世界的な荷動き拡大や建造キャパシティ−などを勘案すれば、需給環境はある程度タイトな状況が続くと考えており、緩やかな調整に留まるものと判断している。

 海運業の循環的な側面、市況変動リスクからの脱却は難しいが、船隊整備と中長期契約の積み上げにより、収益基盤は強化され、利益ステージが変わったとの判断である。

 燃料費の高騰、港湾・陸上インフラのキャパシティー不足、といったコストプッシュファクターは懸念材料として残る。しかし、今後も年間70億円前後のコストダウンを図る見通しであり、合理化の手綱に緩みはなく、高水準での利益推移を見込んでいる。

 株主還元姿勢もポイントのひとつ。配当性向2割を掲げ、04年度年間配当を16円とした。05年度も自己資本蓄積による財務体質改善や特別損失消失による当期利益水準の向上が見込まれ、一段の増配も期待される。



サンケン電気(6707)

薄型テレビ用ユニットがけん引、成長加速ステージへ


 サンケン電気は液晶テレビ用のバックライト・ユニットを軸に、今後の成長加速が期待できるとして注目度が高まっている。05年3月期決算は増収増益となり、ほぼ会社計画線で着地。続く06年3月期も連結売上高、当期利益ともに過去最高を更新する予想。

 同社は半導体と電源機器を主力とする老舗の電子部品メーカー。戦略製品であるCCFLが本格拡大局面入りすることで、新たな成長ステージを迎えようとしている。

 CCFL(冷陰極管)は蛍光灯を細かくした形状の発光管。管が数ミリ程度と細く、ちらつきが少ないため、主に液晶パネルのバックライト光源として使用される(液晶は自ら発光しないため外部光源が必要となる。その光源のことをバックライトと呼ぶ。

 CCFL市場は液晶パネルの在庫調整に遅れて調整局面に入り、(液晶パネル出荷のボトムが昨年7−9月期だったのに対し)10−12月期に受注の最悪期を迎えた。

 同期間の受注は月平均550万本前後、特に12月は500万本程度まで減少したと推測される。

 しかし、2日には急回復しており、それまでのピーク水準である昨年7−9月期(月平均700万本)を大幅に上回る1000万本近い受注を獲得、その後の受注も高水準を維持している模様。在庫調整は短期間で完了し、再び拡大局面への回帰を果たしている。

 液晶テレビの普及進展を背景に液晶パネル需要は2008年まで年率20%の成長が見込まれるが、CCFLは使用本数の多い大型液晶テレビ向けが拡大することで、同年率34%の需要増と更に高い成長が見込まれている。

 短期的な受注調整が完了した現在、同社のCCFLをけん引役とする中期的な利益成長ポテンシャルには再び注目度が高まってこよう。

 06年3月期、07年3月期と2ケタ増益を続ける力強い業績モメンタムは電子部品業界でも際立っている。株価の割安感も強く、今後の評価余地は大きい。今期の一株利益は65円(前期48円)程度が見込まれ、当面1700円を目標としたい。


 

ヒストリカル
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